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秋の味覚―上海蟹

  すっかり涼しくなってきて、ようやく秋の訪れを感じさせる気候になって来ました。秋といえば、食欲とスポーツそれに読書、芸術…いろいろ思い浮かびますが、「民以食為天」(民は食をもって天となす)なので、食欲が一番にきてしまいます。

 

  上海の秋の味覚には蟹が欠かせないもの。上海蟹の本場は上海ではなく、蘇州市の淡水湖の陽澄湖(ヨウチョウコ)です。120平方キロメートル(霞ヶ浦のおよそ70%)の湖で、上海蟹の最高級ブランド陽澄湖蟹が飼育されています。今年の水揚げ量はおよそ2,100トンと予測されています。少ないので、市場ではよく偽物が混入しています。偽物混入防止の指輪が蟹に付けられます。指輪には数字が表示され、この数字により特定のサイトで蟹の情報を調べることができます。

 

  陽澄湖蟹は市場で売り出すだけでなく、現地で蟹を食べる日帰りツアーもますます人気になっています。陽澄湖の蓮花島(レンカトウ)あたりでは、新型旅行形態の「農家楽」(都会に住んでいる人が農家に泊まったり、農家で飼育された家畜や野菜で作った素朴な料理を味わったり、田舎の風景を楽しんだりする旅行)を体験する人が多くなってきています。

 

  上海市内から車で約1時間、「滬寧(コネイ)高速」(G42)→巴城へ(S5)→無錫へ(S48)→陽澄湖北高速道路出口→右へ曲がったら、300メートルほど走ると、蓮花島が見えます。道端で客引きが「蟹を食べませんか」と手を振って止めようとしています。予約した農家(蟹養殖を兼業)が駐車場まで迎えに来てくれ、モーターボートで広い湖を遊覧してくれます。村は、水路が発達しているので、みんなほとんどマイボートを持っています。各家では駐車場のように船付場があります。蟹シーズンの繁忙期に対応するために、ボート2,3艘を持っている家もあります。

 

  農家の水槽に、前夜に取っておいた蟹や蝦や魚が泳いでいます。顧客の好みによって選んで調理してもらいます。陽澄湖蟹は青い甲羅、白い腹、黄金色のつめ、黄金の毛が特徴なので、色を意識して新鮮なものを選びます。農家料理なので、味付けがシンプルで、新鮮な食材の元々の味を生かした料理で、また、蟹と野菜を持ち帰ることもできます。

 

聞くところによると、国慶節の休暇中には上海、南京、杭州、無錫のお客さんが17万人以上蓮花島に殺到したそうです。農民たちは汗をかいて喜んで対応しま した。昔貧しかったところでしたが、今は蟹のおかげで豊かになり、木製の船に代わってモーターボートが普及し、単純な養殖業から蟹を活かした観光業に発展 しました。これからもっと豊かになると思います。