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2009年 上海における小売業

好調を維持する小売業界

 最近の世界的な金融危機は中国国内経済にも波及しており、急速な発展を遂げている小売業界においても、中国国内の自動車販売や住宅販売といったいわゆる高額消費が前年比マイナスとなる等、その将来については重苦しい雰囲気となっている。しかし、景気が減速する中、小売業全体の売上は好調を維持しており、上海市連鎖(チェーン)経営研究所の顧氏は、「2009中国連鎖業発展展望」(08.11.05)の中で、中国の小売業について、小売産業は不景気な時代の中の景気産業と述べており、次の点から今後も小売業の発展は続くとしている。

  • 金融危機への対応のため、政府は国内の内需の拡大に力を入れていること
  • 国民の収入と消費能力の向上が食品、ファーストフード、服、電化製品の売上を伸ばしていること
  • ネットショップの急激な増加が社会消費品売上げを大きく伸ばしていること
  • 中国の消費を主導する階層は1980年以降に生まれた人(「80後」)で、これらの人は一人っ子でもあり、またその消費観念は先進国とほぼ同様であり、収入に関わらず欲しいものを消費する傾向があり、消費が促進されること

 また、小売業の歴史を見ると、経済変革或いは世界的な不況の時代は小売業革新の時期ともなり、工業革命時には大量販売の百貨店が出現し、1930年代の不況は低価格を武器とするチェーンストアを発展させたと指摘しており,今回の国際的な金融危機についても、何かが小売業に発展機会をもたらすものと楽観的に見ている。

 現在の上海における小売業の状況について、年頭の上海市長の2008年政府工作報告において、1月から11月の数字で社会消費品売上が4133億元(前年比17%増)に達することが報告され、経済を牽引する投資、輸出、消費のうち、消費の伸び率が最も高いものとなっている。

好調な消費をうかがわせる百貨店

赤を基調にした春節用品

 

 また、報道において(上海市「東方早報」2009年1月6日)、上海市19の区、県における2008年12月31日から2009年1月3日までの4日間の小売業の売上高が26.95億元に達し、前年同期比26.1%の増加となるなど、消費は好調を維持している。ただ、金融危機の影響もあり、例年12月開催のバーゲンセールの前倒し実施、「300元の買物をすれば、5割引」、「300元の買物をすれば、300元の割引券を提供」等消費者の購買意欲を刺激する販売促進策が多くの百貨店等で実施されたことも要因の一つと思われる。

上海市内主要百貨店売上
八百伴 新世界城 市百一 東方商厦 百聨集団
売上(億元) 2.93 1.02 0.44 0.96 6.70
伸び率(%) 25.40 55.90 33.70 15.80 30.60

(2008年12月31日~2009年1月3日の4日間)

売上記録を更新する八百伴(ヤオハン)百貨店

金の牛が設置され、正月商戦スタート

 今後も好調な消費が続くかどうかについては、先頃発表された08年第4四半期のGDPの伸び率が中国全体で6.8%に止まったことから、景気は明らかに減速しており、減税等の消費刺激策や政府の大型景気対策(4兆元)等の効果いかんにかかっているとする見方が多い。

上海小売業の状況と特徴

 2007年の状況について、08年10月に「2008中国小売業発展報告」が公表されているので、これをもとに上海小売業の状況、特徴等の概要を紹介する。

上海小売業の状況

 2007年上海市社会消費品の売上高は3,848億元(前年比14.5%の増)に達し、1998年以後の最大のものとなり、全国トップに位置している。

社会消費品の売上の内訳をみると、生活用品類が46.7%と最も多く、次いで食品類39.6%、衣類12.3%の順となっている。

 

売上高(億元) 構成比(%) 増加率(%)

生活用品類

1,796.05

46.7

14.7

食品類

1,524.23

39.6

14.8

衣類

476.65

12.3

12.0

燃料類

50.86

1.4

 主な耐久消費財についても、順調に売上は伸びている。総体として、上海の消費市場は旺盛であり、中国全土の中で第1の消費都市であり、全国社会消費品売上の4.43%を占めている。

 

売上高(万台) 増加率(%)

自動車

11.04

15.6

携帯電話

251.10

9.0

ビデオ

7.08

8.0

換気扇

43.25

10.4

上海小売業の特徴

①50%を超える外資の大型チェーン店

 小売業が全面的に開放された2004年末以降、外資の上海進出数は大きく増加し、チェーンストアへの投資も増加した。2005年、上海市の13社の主な スーパーのうち外資企業は8社で、売上高は上海市スーパー全体の売上高の64.9%を占めた。2006年、新たにオープンした13軒のスーパーのうち外資 系が9店舗。売上高は上海市スーパー全体の売上高の80%を占めた。外国の有名小売業の進出は上海市及び中国国内の伝統的な百貨店・スーパーに脅威を与え た。

2007年外資大型チェーン店一覧

 

上海市 外省市

カルフール(フランス系)

12

92

104

メトロ(ドイツ系)

4

33

37

Eマート(韓国)

8

2

10

ウォルマート(アメリカ系)

3

90

93

RTマート(台湾系)

8

67

75

テスコ(イギリス系)

17

34

51

オーシャン(フランス系)

4

14

18

トラストマート(台湾系)

9

92

101

ロータス(タイ系)

20

55

75

総計

85

479

564

 

②中心地区と郊外

 2006年、上海市の10の中心地区の社会消費品売上高は1,962.61億元(10.5%増)に達し、その中、浦東新区、黄浦区、徐匯区、普陀区の売 上高はそれぞれ200億元を超え、10区のうち8区が10%以上の伸びを示した。一方、9の郊外区の社会消費品売上高は1,277.28億元(17.8% 増)に達した。郊外区の伸び率は、中心区の伸び率を7.3%上回り、中心区以上に郊外において消費が伸びていることを示すものとなった。

③サービスに係る支出の増加

 ここ数年、サービス業に係る消費支出が上海の都市部において、経済の発展による収入の増加及びビジネス、生活の高度化とともに増加している。

上海市都市住民の消費支出及びサービスに係る支出

 

2006年 2007年

上海市都市住民一人当たり消費支出(元)

14,762

17,255

前年比(%)

7.2

16.9

サービスに係る支出(元)

4,841

5,595

前年比(%)

8.9

15.6

 

④ チェーン店、コンビニ、専門店、ショッピングセンター

・チェーン店は持続的に発展
 2007年、上海市のチェーン店は1.13万軒、そのうち、スーパーは2,787店舗、コンビニが4,135店舗で、売上は1,361.75億元に達し、昨年より9.4%増加している。

・コンビニの増加の勢いは落ち、専門店は更に拡大
 2006年コンビニの店舗数は4,054で、前年比1.5%の伸びに止まり、2005年より5%の減少となった。上海市のコンビニの店舗の増加の勢いは明らかに落ちている。
 一方、2006年専門店の店舗数は19.3%の増で、専門店が取扱う商品の種類も多く、市場規模も拡大している。専門店は電化製品、家庭用品を取扱うと ころが多いが、今後サービス経済の進展に伴い、事務用品、スポーツ用品、自動車用品を取扱う専門店が多く出てくると見られている。

・ショッピングセンターが増加
 2006年はショッピングセンターの出店が多い年となった。2006年末で、上海市にはショッピングセンターが47軒あり、その内、11店舗が新しく建設されたもの、営業総収入は318.26億元で、前年比27%の増加となった。

増加するショッピングセンター

 また、郊外への商業の発展、交通状況の改善に伴い、ショッピングセンターの進出は郊外へ分布していく傾向が見られる。

2006年ショッピングセンター立地状況
内環状線内 内環状線~中環状線内 中環状線~外環状線内 外環状線外
27店舗 3店舗 8店舗 9店舗

 

参考資料:
上海市連鎖経営協会のHP、中国上海、東方早報、第一財経、中国小売業発展報告、2008年中国連鎖(チェーン)経営年鑑、上海市統計年鑑、上海市統計局のHP、中国商務部のHP等