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労働契約の未更新で使用者側の一方的な終止ができるか?

1、事実経緯

 2013年4月21日、A氏は杭州の某メーカー(以下、B社という)に入社、双方は、B社はA氏に月給5000元を支給、1年間の労働契約を締結。 2014年4月13日、B社はA氏に契約更新を知らせ、同市最低賃金基準を内容とした新しい労働契約を提示したが、新契約の月給額が前の契約の金額を明らかに下回ったことでA氏は契約更新を拒否した。 その後、B社から書面で労働契約の締結を数回催促されたがA氏は断り続けた。 労働契約期限満了後もA氏はそのままB社に勤務し、B社も月給5000元をA氏に支給した。 2014年10月26日、B社はA氏宛「労働関係終止の通知書」を送付し、その書状にB社は「A氏に書面による労働契約の締結を数回催促したにもかかわらず、A氏は再三に渡り、書面労働契約の締結を拒んで、業務上の怠慢行為も存在しており、B社に不利な影響をもたらした。故に2014年10月26日からA氏と正式に労働契約関係を終止する。」と記した。 A氏はB社の一方的な労働関係を終止する行為は違法であると考え、労働仲裁を申し入れ、B社に労働関係の違法終止の賠償金及び書面契約の未締結期間中の2倍給与の差額を要求した。

 

2、仲裁、裁判の判定

 本案は仲裁、裁判の審理を経て、B社はA氏に対して書面労働契約の更新に協議の義務を果したので、A氏に書面労働契約の未締結により2倍給与の差額、及び賠償金を支払う必要がない。但し、労働関係終止の経済補償金を支払う必要であると判定した。

 

3、コメント

 (1)使用者が労働者との労働契約更新の協議中、元の労働契約に決めた基準を引下げた場合、労働者は労働契約期限満了際、労働契約を終止でき、使用者は経済補償金を支払う必要がある。

 (2)労働者が書面による労働契約を拒否した場合、使用者は直ちに労働関係を終止し、且つ経済補償金を支払う必要がある。ただし、労使間で1年を超えて書面に以上よる労働契約を締結しない場合、無期限労働契約を締結したとみなす。

  以 上

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。