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「信用喪失の被執行人リスト情報の公開に関する最高裁の若干規定」についての解説

 2017年2月22日、最高裁は、2013年10月1日より実施した「信用喪失の被執行人リスト情報の公開に関する最高裁の若干規定」(以下、規定という」を修正、再公布し、2017年5月1日より施行することを決めた。本稿では13条で構成された「規定」の概要を以下のとおり取りまとめました。

一、背 景

 2013年10月1日より実施されてきた「信用喪失の被執行人リスト情報の公開に関する最高裁の若干規定」では救済の方法、信用喪失被執行人リスト(以下、ブラックリストという)の転出などの規定の不備で、直近まで各級裁判所が類計公布したブラックリストの情報が673.4万件に達し、そのブラックリストの人数がブラックリストデータから削除できず、絶えずに増えてきたことによって、ブラックリストの公開制度の効果を制約される状況が生じた。その弊害を是正するために、最高裁はブラックリスト入りにもっと慎重、規範的に行われるよう従来の「規定」を見直し、再公布を決めた。

二、改定要点

1.基準の明確

 「規定」では、ブラックリスト入りの基準を更に明確にした。充分、有効な担保を提供した、差押、拘留、凍結などの措置を取られた財産をもって発効した法律文書が確定した債務などを清算するに充足な状況にあり、履行能力を有しても、発効した法律文書が確定した義務を拒んだことに属さない場合、また、被執行人が未成年者である場合、裁判所は、それらの被執行人をブラックリスト入りにしてはならないと特に決めた。


2.期限の追加

 従来の「規定」ではブラックリスト入りの期限を設けず、一旦、載せられると、「無期懲役」の判決を受けたことに等しい。従って、「規定」ではブラックリスト入り期限を通常2年とし、暴力、脅迫方法で執行を妨害、拒否した情状が厳重であり、または多数の信用喪失行為を有した場合、更に1年から3年まで延長することができるが、発効した法律文書に決めた義務を積極的に履行し、または主動的に信用喪失行為を改正した場合、裁判所は信用喪失情報を早めに削除することができる。


3.救済手順の明確

 「規定」は従来の救済手順の不明確さを改めて、公民、法人またはその他の組織は、ブラックリスト入りされてはならず、掲載と公布したブラックリストの情報が正しくなく、ブラックリストから削除すべきと認められた場合、「執行裁判所に改正を求めることができ、改正しないとの決定に不服がある場合、決定書を受領した日より10日以内に上級裁判所に再議の申立ができる。上級裁判所は再議の申立を受けた日から15日以内に決定を下すべきと決めた。

4.ブラックリストの削除

 「規定」は、裁判所は、執行手順の終結後、ネットの執行調査システムを通じて被執行人の財産を2回以上調べ、執行可能な財産が見つからず、かつ、執行申請人またはその他人が有効な財産手掛かりのものを提供できない場合、3営業日以内にブラックリストの情報を削除しなければいけない。要するに、確かに履行能力を有しない被執行人をブラックリスト入りさせない。但し、その被執行人は依然として「被執行人の高価消費の制限に関する最高裁の若干規定」に決めた消費行為、すなわち新幹線、飛行機の搭乗、星レベル以上のレストラン、ナイトクラブ、ゴルフ場などの場所での高価消費を禁止されるものとする。

以 上

最新法令

 

法  律  名  称

施行日

1

最高裁の「信用喪失の被執行人リスト情報の公開に関する若干規定」『重要法規解説』をご参照下さい)

2017/05/01

2

税関総署の「外商投資企業登録登記関連事項に関する公告」

2017/02/03

3

商務部、工業情報化部、公安部などの「重要製品情報化遡及体系創りの推進に関する指導意見」

2017/02/16

4

最高裁の「内地と香港特別行政区裁判所との商事案件にかかる証拠入手の相互委託に関する手配」

2017/03/01

5

国家知識産権局の「「特許申請行為の規範に関する若干規定」の改定に関する決定」

2017/04/01

6

最高裁の「民事執行中の財産調査若干問題に関する規定」

2017/05/01

7

国家品質監督検験検疫総局の「食品農産品輸出企業の国内外販売の「生産ライン、基準、品質の同一」の更なる規範と促進に関する公告」

2018/02/22

 

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。