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株主が会社の清算義務を怠らないよう

 

1、事実経緯

 A氏は、他者と共同出資したB社の株主であり、実質的にB社の経営に関わらなかった。B社は、経営問題で法によってその営業許可書を取り下げられた後、その清算手続を行わなかった。B社の債権者はB社の債務不履行のため、A氏を相手に提訴し、連帯責任を求めた。

2、判 決

 裁判所は本案を審理後、B社が営業許可書を取下げられた後、株主であるA氏は清算手続を行うべきであるにもかかわらず、清算手続きを怠けて、B社の帳簿、財産を紛失し、清算が出来なくなったことによって、B社の債務償還に対して連帯責任を負うものと判決を下した。

3、コメント

(1)中国の「民法総則」第70条第2款により、法人の董事、理事等執行機構あるいは決策機構の構成員は清算義務者とする。法律、行政法規が別途決まれば、それに従う。清算義務者は速やかに清算義務を果さず、損害をもたらした場合、民事責任を負わなければならない。主管機関あるいは利害関係者は裁判所に関係者を指定し、清算委員会を組織し、清算を行うよう申し入れることが出来る。また、「会社法」第36条の規定により、有限責任会社の権力機構は株主会である。

本案のA氏は株主としてB社の経営、管理に参画したかどうかに関わらず、関係者を組織し、B社の清算を行う義務を負うものとする。

(2)法によって、法人を解散する場合、合併あるいは分割の情況を除き、清算義務者は清算委員会を設置し、清算を行わなければならない。

(3)清算義務者とは、その法人との間に存在する特定法律関係に基づいて、法人を解散する際、それに対して,法によって清算を組織する義務を負う主体を指す者である。

(4)本案のA氏は、B社の清算手続を履行する義務を怠り、B社の主な財産の紛失をさせ、清算を実現する可能性が無くなったため、B社の抱える債務に対して償還する連帯責任を負わなければならない。

以 上

 

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。