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保証期間はどう計算すべきか

一、事実経緯

 A社は2011年1月にB社に人民幣120万元を貸出し、B社は2011年7月31日までにA社に人民幣120万元を一括返済すると約束した。

 念の為、A社はB社の法人代表者個人に債務の連帯保証の提供を求めた。B社の法人代表者はA社との間で保証契約書を交わし、仮にB社が期限通りに完済できない場合、代表者個人が連帯して返済の責任を負うものとし、保証期限は借入した日より起算し、借入を完済した日までとすると約束した。

 2011年7月31日を過ぎても、B社はA社に人民幣20万元しか返済しなかった。A社は、B社及びその法人代表者に債務を督促したところ、B社の法人代表者は自身の債務保証期限はすでに過ぎたと主張し債務の支払いに応じなかった。

 

二、質問

 A社はB社の法人代表者に連帯責任を求めることができるか?

 

三、回答

 答えは以下の通りである。

1、実務上、保証契約における保証期間の取扱いはやや複雑であり、特に訴訟時効に絡んだ場合、認識が間違った当事者が少なくない。

2、「最高人民法院の「中華人民共和国担保法」の適用若干問題に関する解釈」(以下、解釈という)の第32条では、保証契約に定めた保証期間は主債務履行期限を早くするかまたは等しくする場合は約束したと見なさず、保証期間は主債務の履行期限が満了した日の翌日より6ヶ月とすると決められている。本案は、B社の法定代表者の保証契約において、保証期間を借入した日より起算すると決めたため、かかる保証期間の起算日の約束が無効になり、保証期間の起算日は主債務の履行が満了した日の翌日(即ち2011年8月1日)より起算しなければならない。

 また、解釈の第32条では、保証契約に保証人が主債務の利息の完済までの保証責任を負う等類似の内容を約束した場合には、約束が不明瞭と見なし、保証期間は主債務の履行期限が満了した日の翌日より2年までと決められている。本案に戻ると、保証契約はB社の法定代表者の保証期限が借入を完済した日までと約束しているため、保証期間の締切日の約束が不明瞭な状態に属し、保証期限は2年間とすべきである。

 以上の分析により、本案としては、保証期間の起算日の約定が無効になったため、起算日は主債務履行期限が満了した日の翌日より起算する。同時に保証期限の約定が不明瞭であるため、保証期限は2年間と推定し、主債務履行期限が満了した日の翌日より2年間とし、主債務履行期限が満了した日の翌日より6ヶ月として計算してはならない。

 従って、B社の法定代表の保証期間は2011年8月1日から2013年7月31日までとすべきであり、その法定代表者はその保証担保の法律義務を免れないものとする。

3、解釈の第31条及び第34条により、A社は2013年7月31日までにB社の法定代表に担保義務の履行を主張し、それから保証期間の自動終止した日より2年間の訴訟時効の規定を適用しなければならない。勿論、訴訟時効は担保期間と異なり、中断し、或いは中止することができる。

 

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。