光棍節

 中国では、11月11日は「光棍節(グアン グン ジエ)」と呼ばれている。「光棍」とは、男やもめを揶揄した言葉であり、「棍」という字は「悪党」や「棍棒」の意味がある。11月11日は数字の1が4本並んで「棒」のように見えることから「独身者の日」を意味している。1990年代末から若者の間で言われるようになり、独身者同士がパーティーをして賑やかに過ごすことが一般的になった。

 最近では、独身から脱出するという「脱光棍」の目的で、単なるパーティーではなく、お見合いをする風潮が広まってきた。一方、恋人や婚約している人は、この日に入籍したり結婚式を挙げるという傾向も増えてきた。11は2つの棒が並ぶ「ペア」としての見方もあるため、数字の11は「一心一意」(一意専心の意味)、「一生一世」(一生涯一緒の意味)という縁起の良い言葉にも繋がっている。今年は2011年11月11日と1が6つ続くため、百年に1度の「スーパー光棍節」と呼ばれビジネスチャンスとしても捉えられた。

 11月12、13両日に上海で「1万人見合い大会」(婚活博覧会)というイベントが開催された。80年代に生まれた世代は結婚相手に対する要求が高いため、「剰男」「剰女」(適齢期を過ぎた独身男女)という社会現象が進んでいる。こうした状況を踏まえて、上海市民政局は「光棍節」を機に大規模なお見合いイベントを開催した。ただし、通常のお見合いイベントよりも参加基準が厳しく設定されており、身分証明書、学歴証明書、戸籍や収入を証明できるものまで提供しなければならない。更に「情報を提供することへの承諾書」まで書かされる。それでも申し込みが殺到したため、締め切り予定日を1週間早めたほどであった。上海市民の初婚年齢は10年より1歳若くなったものの、未婚者の割合は増加している。そのため、子供の結婚を焦るせいか、このイベントには4,000人もの親も参加した。自分(親)の気に入った相手を探して子供に引き合わせ、なるべく早く子供に家庭を築いて欲しいというのが親の本音だろう。業者の集計によれば、このイベントで2006組のカップルが誕生したという。

 役所に結婚届を出すカップルも多い。役所スタッフによると、この日は特別な態勢がとられ、受付時間を朝7時からに早め、臨時カウンターを設置して受付を開始したとのことである。列に並んだカップルに11月11日を選んだ理由を聞いたところ、「お互いを一心一意の気持ちを持って暮らしていける」「11月11日は結婚記念日として覚えやすい」との答えがあった。11月11日に上海で結婚したカップルは5,007組に達し、2011年の1日当たりの記録になると見込まれている。因みにこれまで結婚届の多かった日は、「オリンピック開催」の2008年8月8日が7,189組。2009年9月9日は「天長地久」(「9」と「久」は中国語の発音が同じ「ジョウ」であり、天地のように愛情が変わらない意味。)の日で8,852組。2010年10月10日は「十全十美」(完全無欠、完璧である意味)の日で10,500組であった。中国人は本当にゾロ目が好きなようである。

 また、11月11日は自分自身や友達にプレゼントを贈る人も多いため、デパートやネット通販は絶好のビジネスチャンスと捉えて「光棍節商戦」を巻き起こした。業界最大手の淘宝網は通販サイトと競売サイトを合わせて取扱高が52億元に達した。物流業者はこの日の対応のために40,000人の配達員を増員したが、それでも人員不足であったようだ。

「民政局」に結婚届で並んだ列

臨時対応の受付カウンター

臨時対応の受付カウンター

11月11日の結婚式の様子

出典:東方早報 東方網 上海市婚姻紹介機構管理協会ホームページ