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重要法規解説~研究開発費用税前追加控除政策の完備に関する財政部、国家税務総局及び科学技術部の通知~

 財政部、国家税務総局及び科学技術部は2015年11月2日付で「研究開発費用税前追加控除政策の完備に関する通知」(以下、「本通知」という)を連名で公布し、研究開発活動の定義を調整して追加控除できる研究開発費用の範囲を拡大した。また、税前追加控除政策を適用しない活動と業界をネガティブリストで明確にした。更に、企業の会計採算と管理要求及び管理事項と徴収管理要求を簡素化した。本通知は2016年1月1日より施行される。

一.研究開発活動の定義

 本通知で定義する研究開発活動とは、企業が明確な目標を掲げ、科学と技術の新知識を取得するために科学技術新知識を創造的に活用し、又は技術、製品、サービス及び工芸を実質的に改善するために継続的に展開しているシステム活動をいう。

二.追加控除できる研究開発費用

 2008年に施行されている「企業所得税法」にも研究開発費用追加控除が定められている。本通知に基づき、企業が研究開発活動で実際に発生する研究開発費用は、無形資産に形成せず、当期損益に計上する場合は、規定により事実通り控除することを前提として、当年度の実際発生額の50%を当年度の課税所得額から控除できる。無形資産を形成する場合は、無形資産のコストの150%を税前で償却できる。

 追加控除できる研究開発費用には、人件費、直接投入費用、減価償却費用、無形資産償却、新製品設計費、新工芸規程制定費、新薬の研究製造のための臨床試験費、実地探査開発技術の現場試験費、及びその他の関連費用が含まれる。

三.税前追加控除政策を適用しない活動と業界

1.税前追加控除政策を適用しない活動

(1)企業製品(サービス)の常規性アップグレード

(2)公開した新しい工芸、材料、装置、製品、サービス又は知識などを直接利用する活動やある科学研究成果を直接応用する活動

(3)企業が商品化後顧客に提供した技術支援活動

(4)在庫製品、サービス、技術、材料又は技術プロセスを繰り返し又は簡単に行った変更

(5)市場調査研究、効率調査又は管理研究

(6)工業(サービス)プロセス又は常規性の品質管理、テスト分析、メンテナンス保守

(7)社会科学、芸術又は人文科学に関する研究

2.税前追加控除政策を適用しない業界

(1)タバコ製造業

(2)宿泊と飲食業

(3)卸売と小売業

(4)不動産業

(5)賃貸借と商務サービス業

(6)娯楽業及びその他の業界。

四.特別事項の処理

 企業が外部機構又は個人に委託して研究開発活動を行って発生する費用、企業が共同開発したプロジェクト、企業グループが生産運営及び科学技術開発の実際の状況に応じて、技術要求と投資額が高く集中的に研究開発する必要があるプロジェクト、及び企業が創造性、創意性、突破性のある製品を獲得するために創意設計活動を行うことによって発生した関連費用に対しても、税前追加控除を行うことができる。

 また、企業は本通知に定める研究開発費用追加控除の条件に合致しているが2016年1月1日以降当該税収優遇を享受しない場合、届出手続を行えば、最長3年間遡って享受することができる。

 更に、本通知には会計採算管理と徴収管理要求についても簡素化されている。

五.主要法令

法  律  名  称

施行日

1

財政部、国家税務総局と科学技術部の「研究開発費用税前追加控除政策の完備に関する通知」

2016/01/01

2

国家税務総局の「有限パートナー制創業企業法人パートナー企業所得税に関連する問題についての公告」

2015/10/01

3

財政部の「企業会計区準則解釈第7号」の配布に関する通知

2015/11/04

4

商務部・国家外貨局の「外商不動産投資届出業務の更なる改善に関する通知」

2015/11/06

5

国家工商行政管理総局の「流通部分食品安全監督管理弁法」及び「食品流通許可証管理弁法」の廃止に関する決定

2015/11/10

6

国家税務総局の「企業所得税優遇政策事項処理弁法」の配布に関する公告

2015/11/12

7

国家税務総局の「許可使用権技術譲渡所得企業所得税に関連する問題についての公告」

2015/11/16

8

環境保護部の「原料とする輸入類固体廃棄物を制限する環境保護管理規定」の配布に関する公告

2015/11/17

9

国家税務総局の「行政審査行為の規範、行政審査の改善に関連する業務に関する意見」

2015/11/23

10

国家税務総局の「増値税電子領収書システムによる発行する増値税電子普通領収書発行の推進に関連する問題についての公告」

2015/12/01

 

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。