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重要法規解説~厳重違法信用喪失企業リスト管理暫定弁法~

 国家工商行政管理総局は2015年12月30日より「厳重違法信用喪失企業リスト管理暫定弁法」(以下、「本弁法」という)を公布し、2016年4月1日より施行する。「本弁法」は21条で構成される。その概要を以下の通り取り纏めます。

1.厳重違法信用喪失企業の定義

 厳重違法信用喪失企業とは、工商行政管理法律、行政法規に違反し、情状が深刻な企業を指す。

2.厳重違法信用喪失企業のリスト管理組織

 国家工商行政管理総局と県レベル以上の国家工商行政管理部門はそれぞれ管轄エリアにおける厳重違法信用喪失企業リスト(以下、「ブラックリスト」という)の管理業務に責任を持つ。

3.ブラックリストの掲載条件

 企業が「本弁法」第5条第1項に掲げる以下の事項のいずれかに該当する場合、県レベル以上の工商行政管理部門は、該当企業をブラックリストに掲載するものとする。

(1)経営異常名簿に掲載され、3年以上経過しても、関連の義務を果たしていない

(2)偽造資料の提供やその他の詐欺手段により、重要な事実を隠ぺいしたり、会社変更または取消登記の実施により、登記を抹消されている

(3)マルチ商法を組織し、或いはマルチ商法に便宜を図る条件の提供により、2年間以内に3回以上の行政処罰を受けている

(4)直販の違法行為により、2年間以内に3回以上の行政処罰を受けている

(5)不当競争行為により、2年間以内に3回以上の行政処罰を受けている

(6)提供した商品またはサービスが人身、財産安全の要求を満たさず、人身傷害など消費者権益の厳重な侵害の違法行為を引き起こし、2年間以内に3回以上の行政処罰を受けている

(7)虚偽広告を配布し、2年間以内に3回以上の行政処罰を受け、或いは消費者生命健康に関わる商品またはサービスの虚偽広告を配布し、人身傷害、またはその他の厳重な社会悪影響を引き起こしている

(8)商標侵害行為で5年間以内に2回以上の行政処罰を受けている

(9)商標代理業務の停止を決定されている

(10)国家工商行政管理総局規定のその他の工商行政管理法律、行政法規に違反し且つ情状が深刻である

4.ブラックリストの掲載、抹消

(1)国家工商行政管理総局または省レベル工商行政管理部門は「本弁法」第5条第1項に掲げる事項のいずれかに該当する場合、厳重違法信用喪失企業のブラックリストへの掲載、または抹消に責任を持つ。

(2)国家工商行政管理部門によって決定されたブラックリストリストの掲載内容には、企業名称、統一社会信用コード/登録番号、掲載期日、掲載事由、権利救済の期限及びルート、決定を下した機関を含む。

(3)国家工商行政管理部門は、ブラックリストに掲載された企業の情報記録を当該企業の公示情報に掲載し、且つ企業信用情報公示システムを通じて統一公示しなければならない。

(4)ブラックリストに掲載された企業は、その掲載日から5年間、「本弁法」第5条第1項に掲げる事項のいずれも再発しない場合、管轄権のある工商行政管理部門はブラックリストから抹消する。

5.異議の申し入れ

 ブラックリストに掲載された企業は、その掲載に対して異議がある場合、公示した日から30日以内に、決定した工商行政管理部門に書面で申し入れ、工商行政管理部門は5勤務日以内に受理可否を決めなければならない。

6.ブラックリスト掲載企業への重点監督

(1)重点的な管理監督の対象とする

(2)「本弁法」第5条第1項に掲げる事項のいずれかに該当する企業法人代表者、責任者は3年以内にその他の企業の法人代表者、責任者になることはできない

(3)「契約を守り信用を重んずる」企業公示活動の申請不許可

(4)関連栄誉称号を授与しない

7.主要法令

 

法  律  名  称

施行日

1

国家工商行政管理総局の「厳重違法信用喪失企業リスト管理暫定弁法」『重要法規解説』をご参照下さい)

2016/04/01

2

税関総署の「輸出入貨物申告書修正及び撤回業務ペーパーレス化関連事項に関する公告

2015/12/02

3

最高裁、最高検の「生産安全を危害する刑事事件取扱の法律適用若干問題に関する解釈」

2015/12/16

4

国家税務総局の「2016年度関税実施方案に関する公告」

2016/01/01

5

全人大の「中華人民共和国人口と計画生育法」

2016/01/01

6

国家税務総局の「営業税を増値税課税に変更するテスト期間における増値税問題に関する公告」

2016/02/01

7

国家税務総局の「「税務行政復議規則」の修正に関する決定」

2016/02/01

 

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。