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「民商事案件の審理期限延長及び開廷延期問題の厳格規範に 関する最高裁の規定」について

 最高裁は、2018年4月23日付「民商事案件の審理期限延長及び開廷延期問題の厳格規範に関する規定」(以下、「規定」という)を公布し、2018年4月26日に実施することを決めた。その概要を以下の通り取りまとめる。

1、背 景

 ここ数年来、裁判官制度の改革に伴い、裁判官の枠数と案件増との矛盾が顕著になり、案件審理期限、開廷延期に関する規定があっても、案件処理に公平、透明な予期可能な司法保障を与えられるという当事者の期待に応える状況になっていない。最高裁が「規定」を実施する狙いは、当事者の裁判に関する情報を知る権利、参与権、監督権を保証し、司法の権威性と公信力を守り、民商事案件の迅速処理、公開、透明、効率の高い民商事審判制度を構築するためである。

2、審理期限の制限

 普通順序、または簡易順序を適用する第1審案件審理の期限はそれぞれ6ヶ月と、3ヶ月とする。上訴審案件の審理期限は3カ月とし、裁定に対する上訴案件の審理期限は30日とする。

 法律に決めた特殊な状況及び理由で審理期限を延長する必要がある場合には、独任判事または合議廷は、期限満了15日前までに当該人民法院の院長に申し入れ、詳細状況及び理由を説明しなければならない。院長は期限満了5日前までに決定しなければならない。

 院長の審査延長を許可した後、なお結審できず、再延長が必要な場合には、期限満了15日前までに上級人民法院に報告し、承認を得なければならない。上級人民法院は審理期限切れの5日前までに決定しなければならない。

3、開廷間隔の制限

 人民法院は民商事案件の開廷、審理後、再開廷を必要とすると認めた場合は、法によって当事者に次回の開廷時間を通知しなければならない。2回の開廷間隔は1ヶ月を超えてはならない。但し、不可抗力や当事者の同意による場合は除く。

 独任判事又は合議廷は、民事訴訟法第百四十六条第4項の規定を適用して開廷の延期を決定した場合、当該院長に報告、承認を得なければならない。

4、審理情報の公開

 人民法院は、案件の立案時間、審理期限、控除、延長、審理期限の見直し、開廷審理の状況及び事情について速やかに当事者及びその法定代理人、訴訟代理人に公開しなくてはならない。当事者及びその法定代理人、訴訟代理人は異議があれば、法によって案件受理の法院に監督を申請することができる。

 
 

最近の主要法令

 

法  律  名  称

施行日

1

「民商事案件の審理期限延長及び開廷延期問題の厳格規範に関する最高裁の規定」『重要法規解説』をご参照下さい)

2018/04/26

 

2

財政部、国家税務総局の「営業帳簿の印紙税の徴収減免に関する通知」

2018/05/01

3

最高裁の「人民法院の立案、審判及び執行工作協調運営に関する意見」

2018/05/28

4

国務院関税税則委員会の「日用消費品輸入関税の引下げに関する公告」

2018/05/31

5

税関総署の「「出入国貨物通関単」の全面取消関連事項に関する公告」

2018/06/01

6

税関総署の「原料用として輸入できる固体廃棄物輸送前検査監督管理実施細則」

2018/06/01

 ※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。