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「「中華人民共和国民法総則」訴訟時効制度の適用 若干問題に関する最高裁の解釈」

 最高裁は、2018年7月2日付「「中華人民共和国民法総則」訴訟時効制度の適用若干問題に関する最高裁の解釈」(以下、「解釈」という)を公布し、2018年7月23日より実施することを決めた。その要点を以下の通り取りまとめてみます。

1、背景

 現行の「民法総則」は2017年10月1日より施行されたが、従来、中国の「民法通則」との訴訟時効規定の食い違いによって、司法の実務において民法総則の訴訟時効制度を如何に正しく適用すべきかについて問題点なども見られたことから、統一された民法訴訟時効の必要性が指摘されてきた。これを受けて制定されたのが、今般の「解釈」であり、権利者の権利の保護、更に義務者の訴訟時効制度の悪用による債務の逃避の阻止が期待される。

2、訴訟時効期間

 民法総則の施行後に、訴訟時効期間の計算を開始するときは、民法総則第188条の3年訴訟時効期間に関する規定を適用しなくてはならない。当事者が民法通則の2年または1年訴訟時効期間に関する規定の適用を主張するとき、人民法院は支持しないものとする。

3、3年訴訟時効の適用可否

(1)、民法総則の施行日に、訴訟時効期間がなお民法通則規定の2年または1年を満了していない場合に、当事者が民法総則の3年訴訟時効期間に関する規定の適用を主張するとき、人民法院は支持しなければならない。

(2)、民法総則の施行前に、民法通則に規定する2年または1年の訴訟期間が既に満了している場合に、当事者が民法総則の3年訴訟時効期間に関する規定の適用を主張するとき、人民法院は支持しないものとする。

4、時効中断

 民法総則の施行日に、時効が中断される原因がなお除去されない場合、民法総則の訴訟時効中断に関する規定を適用しなければならない。

5、本解釈の適用除外

    •  本解釈施行後に、案件がまだ第一審または第二審の段階にあるときは、本解釈を適用する。本解釈施行前に既に結審したか、または当事者が再審を申し立てたか、または裁判監督手順によって再審が決定された案件については、本解釈を適用しないものとする。

以 上

 

最近の主要法令

 

法  律  名  称

施行日

1

最高裁の「「中華人民共和国民法総則」訴訟時効制度の適用若干問題に関する解釈」」『重要法規解説』をご参照下さい)

2018/07/23

 

2

財政部、国家税務総局の「小型零細企業所得税優遇政策範囲の更なる拡大に関する通知」

2018/01/01

3

財政部、国家税務総局の「ハイテク企業と科学技術型中小企業欠損繰越年限の延長に関する通知」

2018/01/01

4

国務院弁公庁の「輸入拡大、対外貿易均衡発展促進の商務部など部門の意見の転送に関する通知」

2018/07/02

5

国家税務総局の「地域を跨る税金に関わる事項の報告検査管理関連問題の明確に関する公告」

2018/07/05

6

国家発展改革委員会弁公庁、最高裁弁公庁、民航局綜合司等の「特定厳重信用喪失者による列車、民用航空器の搭乗の一定期間内適切な制限関連業務の貫徹に関する通知」

2018/07/09

7

工業と情報化部の「中華人民共和国化学品監督管理条例」実施細則

2019/01/01

 
※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。