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職業病診断及び鑑定管理弁法について

 中国衛生部は、2002年3月28日より施行された「職業病診断及び鑑定管理弁法」を改訂し、2013年2月19日にその改訂版の「職業病診断及び鑑定管理弁法」(以下、「弁法」という)を公布し、今年4月10日に実施することを決めた。本稿ではその「弁法」の概要を以下の通り述べます。

一、目的

 「弁法」の施行によって社会上の注目度の高い職業病診断及び鑑定制度について多くの調整及び完備を行い、関係部門の職業病診断及び鑑定業務に関わる職責を明確化し、診断資料の不備で職業病の診断が出来ない問題を解決する。

二、便宜措置

 「弁法」では労働者が職業病診断機関を選択する範囲を拡大し、職業病診断機関の診断義務を規定し、職業病の診断受付制限を取消し、労働者の職業病の診断及び鑑定上の雇用者の挙証責任を強化し、鑑定申請の手続きを簡素化した。

 「弁法」第十九条では労働者が雇用者の所在地、本人の戸籍所在地或いは経常的居住地の診断機関で職業病を診断できると規定されている。第二十二条では労働者が法律によって診断を求める場合、職業病診断機関は受診し、且つ労働者にその保有資料の提供を告知すべきと決められている。第四十四条では当事者が鑑定の申請の際、鑑定申請書及び元の診断証明書などを提供すれば十分であるとしている。

 「弁法」では、労働者が診断、鑑定中で診断機関を選択する権利、知る権利、労働仲裁を申し入れる権利、異議を申し立てる権利、鑑定専門家を選択する権利及びプライバシーを守る権利を有すると規定されている。

 また、労働者の職歴、職業病危害の接触経歴及び作業場所における職業病危害要素の状況、臨床症状及び補助検査の結果などに基づいて、総合的に分析する。3人以上単数の診断医師が共同診断を行い、診断結論を下す。診断機関は診断権を独立行使し、診断結論に責任を取るとしている。

三、再診措置

 当事者は診断結論に不服がある場合、法律によって職業病診断機関所在地、区を設ける市レベル衛生行政機関に鑑定を申請できる。区を設ける市レベル衛生行政機関が出した結論に不服がある場合、法律によって省レベル衛生行政機関に再鑑定を申請できる。省レベル衛生行政機関の結論は最終の結論とする。すなわち、一回診断、二回鑑定とする。「弁法」では、職業病診断、鑑定機関は診断、鑑定結果を労働者に直ちに告知すると規定されている。

 職業病診断、鑑定中で労働者の職歴、職業病危害の接触経歴を確認する時、当事者は労働関係、職種、持ち場或いは勤務時間に争議があれば、法律によって雇用者所在地の労働人事争議仲裁委員会に仲裁を申請できる。労働者は雇用者が提供した持ち場職業病危害要素の検査結果に異議があれば、職業病診断機関は雇用者所在地の安全生産監督管理機関に調査及び判定の実施を申請しなければならない。労働者は自らまたは職業病鑑定事務機関に委託し専門家リスト記載の鑑定専門家を確定する。

四、罰則

職業病診断、鑑定中で以下の違法行為に処罰を加える。

1、医療衛生機関が許可なく勝手に職業病診断業務を従事すること

2、職業病診断機関の範囲を超え、法定職責を履行せず、虚偽の証明書類及び規定によらず職業病、疑似職業病などを報告しない行為。

3、職業病診断鑑定委員会専門家が職業病診断争議当事者の財物或いは他の利益を受取ること。

4、衛生行政機関及びそのスタッフが法律に決める職務を履行しないこと。

新主要法令

法  律  名  称

施行日

1

中国衛生部の「職業病診断及び鑑定管理弁法」(『重要法規解説』をご参照下さい)

2013/04/10

2

国家発展と改革委員会の「価格行政処罰証拠規定」配布に関する通知

2013/04/09

3

国家安全監督管理局、公安部、農業部の「危険化学品使用量の数量標準」(2013年版)

2013/04/19

4

交通運輸部の「港湾危険物重大危険源監督管理弁法(試行)」配布に関する通知

2013/04/23

5

人力資源社会保障部の「労災保険条例」執行若干問題に関する意見

2013/04/25