茨城県上海事務所 > TOPICS in 上海 > 「長寿の里」崇明島(すうめいとう)

「長寿の里」崇明島(すうめいとう)

 2011年11月下旬、上海市外事弁公室の主催する在上海日本地方自治体職員向けの崇明島視察研修会が開催されました。本稿は、崇明島と視察した内容の一部をご紹介します。

 崇明島は、上海市北側の長江河口にある中洲で、面積は約1,225平方㎞、東西約80㎞、南北約15kmに亘り、中国国内第3位の広さを誇る島である。行政区域上は崇明島と長興島、横沙島を合わせて上海市崇明県となり、戸籍人口は約70万人、上海市の一部として扱われている。崇明島は長江の土砂が積もってできた島であり、唐の時代(西暦600年頃)に海面から姿を現し始め、更に積もった結果今の島となり、今でも成長し続けているという。2009年に上海長江大橋と上海長江トンネルが開通し上海市内から陸続きとなったため、現在は上海市中心部から車で約40分で行くことができる。

大きさ順に崇明島、長興島、横沙島

 崇明島の大気・水・土地は比較的きれいで自然環境が大切に保護され、多くの種類の生物が生息している。特に島の東部にある東灘湿地は「東灘鳥類国家級自然保護区」として国際重要湿地リストにも掲載されている。保護区は豊かな底生生物と植生資源を有し、記録されている鳥類は312種あり、世界有数の渡り鳥の観測点としても名高い。視察した日はあいにくの天候だったが、保護区施設内には鳥類のはく製等が数多く設置され、見る者を飽きさせなかった。また設置された双眼鏡からは遠く離れた湿地帯で羽を休めている数百羽の渡り鳥も観察できた。

崇明東灘湿地を表示する石

保護区施設の様子

粒のように小さく見えるのが渡り鳥

 豊かな自然環境と豊富な農作物を有するためか、2010年に崇明県は中国国内で15番目の「長寿の里」となっている。現在、同県の満100歳以上の高齢者 は118人、平均寿命80.26歳は全国平均よりも8.26歳も上回っている。中国「長寿の里」というのは、総合性を持つ社会的なブランドで、その地区の 文明社会の水準と発展を示す重要なシンボルとなっている。そのため、崇明県は「長寿の里」というブランドのもと、経済と社会の調和的な発展を推進している。

 視察行程の後半に崇明企画展示館の視察と崇明県政府関係者との座談交流会が催された。企画展示館内では崇明島の立体模型とデジタル映像による崇明県の 将来イメージ像が紹介された。ハイテク、観光、生物医薬、食品加工に重点を置いた産業の発展と、人と自然が調和する居住環境が整備されていく将来像は、中国の他都市にはあまり見られない環境を重視した先端的な街づくりとして印象に残るものであった。

立体模型とデジタル映像による紹介

県政府関係者との座談会

 政府関係者との座談会では、崇明県人民政府副県長をはじめ各分野の主任クラスなど総勢15名が出席し、崇明県の説明や視察団の質問に丁寧に回答してくれた。県旅遊局長の話によると、崇明県の第3の主柱産業は観光であり、特に上海長江大橋と上海長江トンネルの開通によって年間来県人数は2009年110万人から2010年432万人に増加し、観光産業が飛躍的に発展しているとのことであった。レジャー施設、宿泊施設の整備により、今後観光が主要な産業となることが予想される。更に2011年12月24日、崇明島から長江をまたいで江蘇省啓東市を結ぶ高速道路(全長51㎞)が開通し、啓東は上海市内から約1時間圏内の都市となった。これにより崇明島は上海市および江蘇省と陸続きの中間地点となったため、今後ますます注目されるエリアとなるだろう。