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上海タクシー料金の値上げ

 上海市のタクシー料金が7月9日から値上げされた。市内タクシーの初乗り基本運賃が1元引き上げられ、さらに新たに導入された燃料サーチャージ1元が加わり、初乗り運賃が従来の12元から14元となった。また、郊外タクシーも7月23日から同様に10元から12元に値上げとなった。1kmあたりの加算運賃や初乗り距離は現行の制度と変わらない。燃料費高騰や物価指数の上昇を背景に、上海のタクシー運転手の収入改善を目的として料金調整がなされたものである。

初乗り運賃の新旧対照表

 

市内タクシー

郊外タクシー

値上げ前

値上げ後

値上げ前

値上げ後

昼間

12元

14元

10元

12元

深夜
(23:00~5:00)

16元

18元

2元値上げのうち1元は燃料サーチャージ分

 タクシーの車体に表示されている基本運賃は13元であるが、メーター表示は燃料サーチャージ1元が加わった14元となっているため、初めて上海を訪れる人は戸惑うかもしれない。また、上海のタクシーは5万台もあるため、メーター表示の調整が追い付かず、7月中は初乗り運賃が12元と14元のタクシーが混在していた。そのため、値上げ表示された空車のタクシーをわざと見過ごし、意識して値上げ前のタクシーを待つ乗客の姿が見られた。ある運転手は、「値上げについて消費者が納得するまでには時間が必要だ。メーター表示は14元でも、7月中は客を確保するために実際には従前の12元の初乗り運賃で乗客を乗せることもある」と語っていた。

 この初乗り料金値上げでタクシーの運転手は収益がどれぐらい増えるのか。初乗り基本運賃の1元は運転手の収益となるため、1日の平均利用回数34.5回で計算すれば1ヶ月の増加収入は1,035元となるが、上海市交通港口局の担当者によると、差額燃料補助金等の調整により実際に増加する収入は500元前後になるだろうとのことである。

 一方で、物価上昇に敏感な上海住民にとって今回の料金引き上げは不満であり、70%が「高すぎる」「納得できない」、15%が「(値上げ額が)少し高い」「かろうじて納得できるが、今後は出来るだけ地下鉄かバスを利用する」との意見を述べている。上海のタクシー料金は、中国全国的に見ても高く、不満の声が多いのも理解できる。

上海と他都市のタクシー料金の比較

 

初乗り料金

5km乗車の場合の料金

30km乗車の場合の料金

上海

14元

19元

103元

北京

12元

16元

81元

武漢

8元

13.8元

77元


 タクシー料金の値上げを受けて、ネットでは「相乗り」捜しの書き込みが増えている。タクシー通勤者がネットで相乗りの相手を探し、費用分担をすることで支出を抑えようとしている。上海でタクシー相乗りは一般的に行われており、自宅付近から会社まで、或いはアクセスが便利な駅まで相乗りでタクシーを利用する。ただ、相乗りする場合はトラブルが起こる恐れもあるので、相手の身元確認には注意が必要だ。      

 また、個人営業の違法タクシー(いわゆる白タク)とバイクタクシーが台頭してきている。白タクは上海では「黒車」と呼ばれている。これらは乗車前に値段を交渉してから乗るため、上海に詳しく交渉が上手であれば通常のタクシーより安く乗車できることがある。白タクは空港や地下鉄駅付近などに多く待機しており、荷物の多い出稼ぎをねらっている。バイクタクシーは「摩的」と呼び、多くは郊外の地下鉄の駅付近に待機しており、料金もタクシーより安いため交通渋滞時や短距離の場合などに利用する人が多い。両方とも運転が荒く、違法であるため事故が起きた場合の保障はないが、タクシー料金の値上げの影響で支出を抑えたい人が白タクやバイクタクシーに乗る傾向が増えている。これに対し上海市交通港口局では、上海のタクシーの料金値上げによって白タクやバイクタクシーが増加しないよう交通警察部門と連携し、取り締まりを強化していくとのことである。

基本運賃13元を示すタクシー(青年報より)

町中を走る一般的なタクシー

バイクタクシーを利用する市民