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借金契約の訴訟時効はどう計算すべきか

一、事実経緯

 2005年3月10日、A氏はB氏と月利0.5%の10万元の借金契約を締結したが、返済期限を定めなかった。翌11日、B氏はA氏に10万元を貸し、A氏は領収書を発行した。2005年3月11日から2010年3月11日まで、A氏は約束通り毎月B氏に借金の利息を支払った。2010年8月、B氏はA氏宛2010年11月3日までに元金及び利息を返済するよう通知書を発送したが、A氏はその期限を過ぎても返済に応じなかった。2011年6月17日、B氏は再度A氏に返金を催告したが、A氏は利息の2000元しか返済しなかった。2011年7月、B氏はA氏が借金10万元及び延滞利息を支払うよう求め裁判所に提訴した。

二、裁判の争点

 本案の争点はB氏の訴訟請求は法律に定めた訴訟時効を超過したか否かにある。

三、判決趣旨

 裁判所は本案を受理後、借金契約内容を審理し、返済期限の無い借金契約が無期限借金契約であると認定し、「契約法」の第206条の「借金期限を約束しておらず、または約束を明確にせず、本法第61条に従うとしても確定できない場合、借主は随時に返済できるし、貸主は借主に対して合理的な期限内に返済を催告できる」との規定に基づいて、本案の訴訟時効は消滅していないと判決した。

四.コメント

1、B氏がA氏に催告した後においてもA氏が借金及び利息の返済を履行しない場合、その時点から、訴訟時効期限の適用要件が備わる。この場合、債権者であるB氏は債務者であるA氏に対して何時でも催告できる。その訴訟時効期限は権利が侵害された時から起算すべきものとし、本案の訴訟時効は2010年11月3日から起算し2年間となるが、2011年6月17日、B氏は元金及び利息の返済を求めたため、訴訟時効は中断し、本案の訴訟時効期限は2013年6月16日まで延長する。故に、B氏の訴訟請求は訴訟時効期限を過ぎておらず、その合法、合理的な請求は法的な支持を得られる。

2、本案を引き起こした原因は双方が訴訟時効に対する理解の違いによるものである。

3、貸出期限を確定できない状況に対して、貸主は借金期間の利息を主張する場合は、自ら借金期日について挙証しなければならず、確定できない場合は主張した日から利息を起算する。借主は借金が時効にかかって消滅すると主張する場合は、自ら借金期日及び訴訟時効の超過について挙証しなければならず、確定できない場合は主張した日から改めて訴訟時効を計算しなければならない。

 

 ※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。