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人力資源と社会保障部の《労務派遣暫行規定》についての解説

 人力資源と社会保障部は、2013年12月20日、「労務派遣暫行規定」(以下、規定という)を公布し、2014年3月1日より施行する。本稿では、その概要を以下の通りに取り纏めてみます。

一.背景

 2012年末、全人代常委会による労働契約法の改正後、一部の労務派遣会社と使用会社は労務請負、業務発注の方式を採用し、労務派遣に対する法規制を脱がれるような動きが現れてきた。規定の実施はこうした法律責任の回避行為を差し止めるためである。

二.規定の適用範囲

 規定は、労務派遣業務を営む労務派遣会社、被派遣労働者の使用会社、及び会計士事務所、法律事務所、非民営企業単位などを適用対象とする。

三.労務派遣社員使用比率

 被派遣労働者の使用会社における被派遣労働者数はその労働者使用総数(雇用契約社員数と派遣社員数との合計)の10%を上回ってはならない。

規定の実施までに、使用中の被派遣労働者数が労働者使用総数10%を上回った会社は、労働者使用調整案を策定し、規定の実施日から2年以内に規定の比率まで引き下げるよう有効な措置を講じなくてはならない。

四.補助職位の設置

 使用会社は、補助職位に被派遣労働者を使う場合、職員代表大会または職員全員と討議し、方案を提出し、組合または職員代表と協議、確定の上、会社内にその旨を公示しなくてはならない。

五.被派遣労働者の権益保護

 使用会社は、被派遣労働者に職位にかかる待遇面において、労務派遣会社は、使用会社の所在地で派遣社員のために社会保険に加入し、また使用会社の所在地の規定で社会保険料を納付しなくてはならない。

六.被派遣労働者の労災などの処理

 被派遣労働者が使用会社において業務で負傷した場合、派遣会社は法により労災認定を申請し、使用会社は労災認定の調査に協力しなくてはならない。労務派遣会社は労災保険責任を負うものとするが、使用会社と補償方法を約定することができる。

七.被派遣労働者の返還条件

 使用会社は下記の三つの状況にあたり、被派遣労働者を労務派遣会社に返還することができる。

1.使用会社は労働契約法第四十条第三項、第四十一条の状況に当たる。

2.使用会社は破産宣告、営業許可証の取下げ、閉鎖、撤回、繰上げ解散または経営期限満了後延長しないことを決定した。

3.労務派遣協議期間満了。

八.返還後の被派遣労働者の処理

1.被派遣労働者は使用会社より返還された後、労務派遣会社は労働契約法により被派遣労働者と労働契約を解除できる。

2.労務派遣会社が新たに派遣する際、労働契約に定めた条件を引き下げて、労働者が同意しない場合、労務派遣会社は労働契約を解除できない。また、派遣労働者が労務派遣会社に返還され、無職期間中、労務派遣会社は所在地人民政府の定めた最低賃金基準に従って毎月報酬を支払わなくてはならない。

              法  律  名  称

施行日

1 人力資源と社会保障部の《労務派遣暫行規定》について『重要法規解説』をご参照下さい)

2014/03/01

2  国家税務総局の「国務院一部行政改革項目の取消及び下放に関する決定」の貫徹、実行に関する通知现行有效外汇管理主要法规目录(截至2013年7月31日)

2014/01/13

3 国家発展と改革委員会の価格違法行為告発処理規定

2014/01/15

4 国務院の中華人民共和国国家秘密保護法実施条例

2014/03/01

5 税関総署の知的財産権税関保護システム使用に関する公告

2014/03/01

 

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。