茨城県上海事務所 > 中国法律情報 > 「外商投資プロジェクト審査及び届出管理弁法」についての解説

「外商投資プロジェクト審査及び届出管理弁法」についての解説

 2014年5月17日、中国国家発展改革委員会は「外商投資プロジェクト審査及び届出管理弁法」(以下、弁法という)を公布し、2014年6月17日から施行する。「弁法」は8章38条より構成される。「弁法」の実施に伴い、2004年10月9日付公布の「外商投資プロジェクト審査暫定弁法」は廃止する。

一.背景

 経済グローバル化の進展に伴い、外商の対中投資には新たな状況と特徴が現れてくる。周辺諸外国との外資誘致の競争に打ち勝ち、新たな開放型経済体系を積極的に進めていくために、現行規定を調整し、且つ改善する必要があると判断した中国国家発展改革委員会は「弁法」の公布、実施を通じて、外国企業の対中投資の微減傾向を食い止める思惑があると考えられる。

二.内容のポイント

1.投資プロジェクト管理方式の変更

 「弁法」は外商投資プロジェクト管理方式を改革し、プロジェクトの全面審査を限定審査及び一般届出による管理方式に変更する。「外商投資産業指導目録」(以下「目録」という)における中国側マジョリティ(相対的マジョリティを含む)を要求される奨励類プロジェクト及び制限類プロジェクト、及び「政府許可の投資プロジェクト目録(2013年版)」第一項から第十一項に該当する外商投資プロジェクトは許可制とし、その他の外商投資プロジェクトについてはすべて届出制とする。

 2.国民待遇の適用

 「弁法」は許可管理上外商投資に国民待遇を試行し、「目録」における中国側マジョリティ(相対的マジョリティを含む)を要求される奨励類プロジェクト及び制限類プロジェクトを除き、その他の外商投資プロジェクト管理方式は内資プロジェクトと同じとする。

 3.外商投資プロジェクト管理内容の簡素化

 「弁法」に定める届出を必要とする外商投資プロジェクトは地方政府投資主管部門が責任を負い、属地管理を行う。「弁法」は外商投資プロジェクトの審査、届出の条件を簡素化し、プロジェクトの市場予測、経済効果及び製品技術方案など企業自体が決めるべき内容に関する審査が無くなり、外商投資の利便性レベルを高めるものとする。

4.事中事後監督の強化

 「弁法」は、各レベルの発展改革部門において、同レベルの国土資源、環境保護、金融監督、安全生産管理などの部門とともに、外商投資プロジェクトへの共同監督を強化し、発展計画、産業政策、参入基準、信用記録などの情報の連携を図り、違法行為を取り締まり、不良信用記録に記載し、行政認可と市場監督の情報共有を目指すことを明確に要求している。

三.新主要法令

 

法  律  名  称

施行日

1

国家税務総局の「国家税務総局の小型・零細企業企業所得税半減徴収範囲の拡大関連問題に関する公告」

2014/04/18

2

税関総署の「通関作業ペーパーレス化改革工作の更なる推進関連事項に関する公告」

2014/04/01

3

国家税務総局の「期限過ぎ輸出税金還付(免除)未処理で延期処理可能できる関連問題に関する公告」

2014/04/04

4

財政部、国家税務総局の「小型・零細企業企業所得税優遇政策関連問題に関する通知」

2014/04/08

5

国家外貨管理局の「多国籍企業外貨資金集中運営管理規定(試行)の公布に関する通知」

2014/04/18

国務院の「中華人民共和国商標法実施条例」

2014/05/01

税関総署の「加工貿易貨物廃棄処置関連問題に関する公告」

2014/05/01

国家税務総局の「委託投資情況下受益所有者認定問題に関する公告」

2014/06/01

国家食品薬品監督管理局の「食品薬品行政処罰プロセス規定」

2014/06/01

10

国家質量監督検験検疫総局の「質検総局の「輸入食品不良記録管理実施細則」の配布に関する公告」

2014/07/01

 

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。