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借用書の訴訟時効について

 民間貸借の訴訟時効は貸借双方、特に賃貸人の利益に関わっている。中国法律では民間貸借の訴訟時効についてどのように決められているか、すなわち、借用書の有効期限の詳細について、以下の通りに述べてみます。

一.民間貸借の訴訟時効について

1.訴訟時効の考えによれば、借用書に返済日が定められている場合、訴訟時効は返済日の翌日より起算され、2年とする。

 2.借用書に返済期間が定められていない場合、履行期限の定めのない貸借契約として、債権者は債務者に対しいつでも債務の履行を要求することができるが、相手方に必要な準備期間を与えなければならない。この場合における訴訟時効の起算日について以下の通りとする。

(1)債権者が催促した時に債務者は即時履行の意思を表示したが、実際に履行しなかった場合、訴訟時効は催促した翌日より起算する。債権者がいつ催促すべきかについては、期限上の制限がないものとする。

(2)当事者双方が協議して契約内容を変更し、履行期限の不明確な債務を履行期限の明確な債務に変更した後でも、債務者が当該期間満了後債務を履行しない場合、訴訟時効はその期限満了日の翌日より起算する。

(3)債権者が債務者に対し権利を主張したが、債務者が履行拒絶の意思を明確に表示し、且つ債権の存在を否認する意思を表示した場合、訴訟時効は当該拒絶日の翌日より起算しなければならず、債権者が緩和期限を定めるかどうか、または当該期限が満了しているか否かは問わないものとする。

(4)債権者が債務者に対し債権の履行を主張したが、債務者が履行拒絶の意思を明確に表示せず、双方が必要な緩和期限を約束し、当該緩和期限が満了した時は、債務者が債務の履行拒絶を明確に表示したか否かに関わらず、客観的に債務者が債務を履行しない限り、訴訟時効は当該緩和期限満了日の翌日より起算するものとする。

(5)債権者が訴訟時効(2年)が成立する前に、債務者に対して債権の履行を主張した場合、訴訟時効期間の進行を中断し、期間の進行を振り出しに戻すものとする。

 二.借用書の有効期限について

1.借用書の有効期間とは借用書の訴訟時効を指し、借用書の訴訟時効は借用書自体の効力に影響を及ぼさないとされている。合法的に結ばれた、真実有効な借用書そのものは有効である。期限は、訴訟時効を超過したか否か、法によって守られるか否かを確保する問題である。

2.借用書の訴訟時効は民間貸借の訴訟時効と同様であるかについて、返済日があるか否かを確かめなければならない。もし、返済日がある場合、訴訟時効は返済日の翌日より起算して2年とする。返済日がない場合、訴訟時効は最長で20年とする。

三.訴訟時効が経過した借用書について

1.訴訟時効を超えた場合、当事者双方はできる限り友好協議を通して元の借用書について返済協議を締結すべきである。当該返済協議は新たな債権債務関係を構成し、法律によって保護されるものとする。

2.もし訴訟時効を超えて、当事者双方の協議が成立しなかった場合、債権者は相手方に対し期限到来の催促通知書を送付することができる。債務者が当該通知書に署名又は捺印した場合、債務に対する再確認とみなされ、その債権債務関係は法律によって保護されるものとする。

四.コメント

 借用書への返済日の記載の有無に関わらず、債権者は訴訟時効の問題を重視しなくてはならない。訴訟時効に疑問を感じた場合、弁護士など専門家への相談をお勧めしたい。できるだけ早く問題を発見し、解決すべきである。さもなければ、訴訟時効が経過し、債権回収の好機を逸してしまうだろう。

 

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。