茨城県上海事務所 > 中国法律情報 > 「外国人入国、短期業務完成に関する処理手順(試行)」の配布に関する通知についての解説

「外国人入国、短期業務完成に関する処理手順(試行)」の配布に関する通知についての解説

 人力資源社会保障部、外交部、公安部、文化部は連名で2014年11月6日付「外国人入国、短期業務完成に関する処理手順(試行)」の配布に関する通知(以下、「処理手順」という)を配布し、2015年1月1日より施行した。

一.背景

 長年に亘り、中国における外国人の就業に関しては主に「中華人民共和国出入国管理法」及び「外国人出入国管理条例」などの概括的な法規定を適用し、事情の異なる外国人の中国滞在に必要かつ詳細な法規定の不備からしばしばトラブルが起きてきた。「処理手順」配布の目的は、上記の問題を解消できるよう多岐に亘り補足し、外国人の中国滞在方式を規範化し、関係部門の処理手順に指針を与えることにある。

二.「処理手順」が外国人の短期入国に与える主な影響

1.外国人が中国に入国し、短期業務任務完成と見做す業務(滞在期間が90日を超えないもの)

(一)中国国内での提携先のために、何らかの技術や科学研究、管理、指導などの業務を完了させる

(二)中国国内でスポーツ機構にて訓練を行う(トレーナー、選手を含む)

(三)映画撮影(広告、ドキュメンタリーを含む)

(四)ファッションショー(モーターショーコンパニオン、広告撮影などを含む)

(五)渉外的な営業性公演に従事する

(六)人力資源社会保障部門が認定するその他の状況

2.外国人が短期業務任務を完了させると見做さない業務

(一)購入した機械設備に付随するメンテナンス、据付、調整・テスト、取外し、指導及びトレーニング

(二)中国国内で落札されたプロジェクトに対する指導、監督及び検査

(三)中国国内の分会社、子会社、代表処に派遣のうえ短期就労を完了させる

(四)スポーツ大会への参加(選手、トレーナー、医療チーム、アシスタントなどの関係者を含む。但し、国際スポーツ機構の求めにより、中国の主管部門が承認のうえ、登録カードを所持して入国し試合に参加するなどの場合は除く)

(五)入国のうえ無報酬の業務に従事する場合あるいは海外機構から報酬を受け取る有償ボランティア及び無償ボランティアなど

(六)文化主管部門が承認書面において「渉外的な営業性公演」を明記していない場合

 上記2の(一)(二)(三)(四)に該当し、かつ滞在期間が90日を超えない場合、Mビザを申請しなければならい。上記2の(五)(六)に該当し、かつ滞在期間が90日を超えない場合、Fビザを申請しなければならない。

 上記1および2の(一)(二)(三)(五)に該当する者は中国入国時の一回の滞在期間が90日を超えない場合、いずれも「外国人の中国における就業管理規定」に基づき、関連手続きを申請しなければならない。入国のうえ、季節性労務、短期労務に従事する場合、関連規定に従って執行する。

 3.入国のうえ、短期営業性公演を行う外国文芸公演団体、個人は、文化主管部門が発行する批准文書及び中国短期業務証明書(以下、「業務証明書」という)を備えなければならない。入国のうえ、その他の短期業務任務を完了させる場合、人力資源社会保障部門が発行した外国人就業許可証(以下、「許可証」という)及び業務証明書を備えなければならない。

 三.短期業務人員が就労する場合の手続き

1.業務許可の申請

(一)人力資源社会保障部門に対する許可証及び業務証明書の申請

 短期業務に従事する外国人を招聘する予定の中国国内の提携先は、省レベルの人力資源社会保障部門又は授権された地域の人力資源社会保障部門に下記の証明資料を提出のうえ、申請しなければならない。外国人の中国国内における短期業務完成地が2か所以上の省レベルの地区に及ぶ場合、国内提携先の人力資源社会保障部門に関連手続きの申請を行う。

(1)国内提携先の登記証明、組織機構番号コードのコピー

(2)中外双方の提携協議書、項目契約書など

(3)入国予定者の履歴書

(4)有効なパスポート

(5)専門技術の証明書など

(6)その他の必要な資料

(二)文化主管部門に対する批准文書及び業務証明書の申請

 中国国内において営業性公演を予定する外国文芸公演団体、個人は公演の主催者は初回公演が行われる所在地の文化主管部門に申請する。

2.招聘状又は招聘確認状の取扱い

 使用者が許可証及び業務証明書をもって登録地又は所属する被授権部門に招待状又は招聘確認状を申請する。

3.Zビザの申請

 短期業務任務を行うための入国の許可を得た外国人は、中国の在外大使館、領事館又は外交部より委託を受けたその他の在外機関(以下、「在外ビザ発給機関」という)においてZビザを申請する。

4.業務類居留許可証の取扱い

 業務期間が30日以下の短期就労者は、業務証明書に記載された業務期限内に業務を行い、Zビザに記載された滞在期間内滞在する。業務期間が30日を超える短期終就労者は、業務証明書に記載された業務期限内業務を続け、業務証明書及びZビザなどの証明資料を持参して公安機関に出向き、90日の業務類居留許可証のための許可手続きを行う。

 業務証明書を持つ外国人は、短期業務完了後、その居留許可が有効期間内にあり、国内使用者に雇用される場合、「外国人の中国における就業管理規定」の関連手続きに基づき国内の関連手続きを行うことができる。

四.結び

1.「処理手順」の公布は短期業務任務をその他の情況と区別し、取扱手順も異なっている。外国人が「処理手順」に従って入国手続きを行わなかったり、業務証明書に記載された事項によらず、短期業務に従事する場合等は、公安機関より不法就労として処罰される可能性がある。

2.入国のうえ短期業務を完了させる予定の外国人は「処理手順」を熟知のうえ、「処理手順」に従ってふさわしい業務許可及びZビザを取得し、手順の不備によってもたらされる違法就業のリスクを避けるべきと考える。

 

法  律  名  称

施行日

1

「外国人入国短期業務完成に関する処理手順(試行)」の配布に関する通知

2015/01/01

2

国家税務総局の固定資産償却加速税収政策関連問題に関する公告

2014/01/01

3

人力資源社会保障部、財政部、工業情報化部などの失業保険による企業職位支援関連問題に関する公告

2014/11/06

4

税関総署の「税関企業認証標準」の公布に関する公告(2014年第82号)

2014/12/01

5

税関総署の「中華人民共和国税関企業信用管理暫行弁法」実施関連事項に関する公告

2014/12/01

6

中国国際貿易促進委員会、中国国際商会の中国海事仲裁委員会仲裁規則

2015/01/01

7

中国国際貿易促進委員会、中国国際商会の中国国際経済貿易委員会仲裁規則

2015/01/01

8

全国人民代表大会常務委員会の「中華人民共和国行政訴訟法」の修正に関する決定

2015/05/01

 

※本稿は、当事務所でアドバイザー契約をしている董弁護士の事務所で発行されている記事を一部加筆修正したものです。